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ぬか床の世界が広がっていく。きゅうりから、魚のムニエルまで。


ぬか床を始めたばかりの頃は、とにかく「まず基本から」と思っていた。

きゅうり、大根、人参。この3種類をひたすら繰り返した。

漬け時間を変えてみたり、厚さを変えてみたり。同じ野菜でも毎回少しずつ味が違う。それだけで十分に面白かった。

「他の野菜も漬けてみよう」という好奇心

基本3種類に慣れてくると、自然と「他はどうだろう」と思い始めた。

まず試したのはブロッコリーとカリフラワー。固い野菜だからどうかなと思ったが、漬けてみると中までしっかり味が入って、独特の食感が出た。生でも茹でても味わえないような、ぬか漬けだけの美味しさがある。

次はごぼう。少し長めに漬けると、土臭さが抜けて、ぬかの旨味をしっかり吸い込んでいた。

セロリも試してみた。独特の香りがぬかと合わさると、不思議なほど食べやすくなる。セロリが苦手な人でも食べられるかもしれない、と思うくらい、味が丸くなった。

まさかの「魚のぬか漬け」との出会い

ある日、調べ物をしていたら「ぬか床に魚を漬けることができる」という情報を見つけた。

イワシ、アジ、サバ。青魚をぬか床に漬けると、魚の臭みが抜けて旨味だけが残るという。半信半疑だったが、試してみることにした。

漬け上がった魚を小麦粉をまぶしてムニエルにする。フライパンでバターで焼くと、ぬかの香りと発酵の旨味が閉じ込められて、まったく別の料理になった。

一口食べて、「これは発見だ」と思った。

魚の臭みがまるでない。代わりに、深いコクと旨味がある。ぬか漬けは漬物だけだと思っていたのに、料理の下ごしらえにもなるとは思わなかった。

野菜と魚は、必ず別々に

ひとつ大事なことを学んだ。

魚介をぬか床に漬けると、どうしても魚の臭いがぬか床に移ってしまう。そのまま野菜を漬けると、野菜に臭みが染み込んでしまった。

それ以来、魚を漬けるときはジップロックに少量のぬかを取り分けて、そこに魚だけを漬けるようにした。野菜用のぬか床と魚用のぬかを完全に分ける。

この「分ける」という工夫を覚えてから、魚のぬか漬けが気軽に楽しめるようになった。

漬け時間と味の関係

ぬか漬けは、漬け時間で味が変わる。

同じきゅうりでも、6時間漬けたものと24時間漬けたものでは、まったく別の食べ物だ。6時間は浅漬けに近く、素材の風味が残る。24時間になると、しっかり乳酸菌の酸味が出てくる。

どちらが「正しい」わけではない。料理との組み合わせや、その日の体の状態で使い分ける。脂っこい食事の日は、しっかり漬けた酸味のあるぬか漬けが合う。あっさりしたものを食べる日は、浅漬けで素材の甘みを楽しむ。

ぬか床を続けるうちに、「今日はどれくらい漬けよう」という判断が自然にできるようになってきた。

残ったぬか漬けは、捨てない

ぬか漬けはほぼ毎日自分が食べているが、たまに食べきれずに残ることがある。

そんなときは、味噌汁の具に入れてしまう。きゅうりでも大根でも、ぬか漬けを刻んで味噌汁に入れると、ぬかの旨味が溶け出して、いつもと少し違う深みが出る。「ぬか漬け入り味噌汁」は、発酵×発酵の組み合わせだ。

もうひとつ、最近気づいた食べ方がある。ラーメンに乗せることだ。

酸味の出たぬか漬けをラーメンにトッピングすると、スープに程よい酸味が加わって、まるで酸辣湯風のラーメンになる。これが想像以上においしい。インスタントラーメンでも、ぬか漬けを一緒に食べるだけでずいぶん違う一杯になる。

捨てるところがない、というのも、ぬか漬けの魅力のひとつかもしれない。

ぬか床を育てることで気づいた「時間の価値」

ぬか床を始めて半年で、「時間の価値」について考えるようになった。

ぬか床は、すぐにはうまくならない。最初の頃は、なんとなく酸っぱいだけ、なんとなく塩辛いだけだった。でも、毎日かき混ぜ続けることで、少しずつ味が落ち着いてくる。菌のバランスが整ってくる。

「うちのぬか床の味」というものができあがるのに、3ヶ月はかかった。

人間でいえば、習慣が定着するのに3ヶ月かかると言われる。ぬか床も同じくらいかかる。これは偶然ではないと思う。生き物が変化するには、それなりの時間が必要なのだ。

ジョギングも同じだった。最初の3ヶ月はなかなか楽にならなかった。でも続けていたら、体が慣れてきた。発酵食品も、ジョギングも、ぬか床も、全部「3ヶ月の壁」がある気がする。

ぬか床は、育てるほどに面白くなる

始めて数ヶ月。ぬか床は毎日かき混ぜ続けることで、少しずつ味が落ち着いてきた。

漬ける食材の幅が広がるほど、食卓も豊かになっていく。きゅうり1本から始まった習慣が、今では魚料理の下ごしらえにも、ラーメンのトッピングにまでなっている。

ぬか床って、育てるほどに面白くなるものだなと思う。

ぬか漬けに合う料理の組み合わせ

ぬか漬けは単体で食べるだけでなく、料理との組み合わせで楽しみが広がる。

白いご飯との組み合わせは最高だ。炊きたてのご飯に、酸味のあるきゅうりのぬか漬け。この組み合わせは何度食べても飽きない。

焼き魚との組み合わせも合う。脂っこい魚の旨みと、ぬか漬けの酸味がバランスをとってくれる。さわらの塩焼きに大根のぬか漬けを添えると、箸が止まらない。

豆腐にぬか漬けを細かく刻んでのせると、即席のおかずになる。ぬかの旨みが豆腐に移って、シンプルなのにおいしい。

ぬか漬けを使った料理の発見は、まだ続いている。食材として使えるものが、冷蔵庫に常時ある。それが食事の幅を広げてくれている。

ぬか床に向き合うのが楽しくなった

始めた頃、ぬか床を混ぜるのは義務感だった。

「やらなければ」という気持ちで冷蔵庫を開けていた。でも数ヶ月が経った頃から、変わってきた。

「今日のぬか床はどうかな」と思いながら蓋を開けるようになった。においを確認する。色を見る。固さを確かめる。「いい状態だ」と感じると、少し嬉しい。「水分が多いかな」と思えば塩と糠を足す。

ぬか床の状態を観察することが、楽しくなっていた。生き物を育てている感覚がある。毎日少しずつ変化する。その変化に気づくことが、面白い。

生き物を育てることで、「変化に気づく力」が養われる気がした。それはジョギングで自分の体の変化に気づく力とも、つながっている。

ぬか漬けで気づいた「腸の声」

ぬか漬けを食べ続けるようになってから、腸の変化に気づくようになった。

食後に腸が「動いている」感覚がある。ぬか漬けを食べた日は、その感覚が強い。食べない日より、腸の動きが活発な気がする。

腸内細菌は、発酵食品から届く乳酸菌によって刺激される。刺激を受けた腸は活発に動く。その「動き」を体で感じられるようになったのは、発酵食品を続けた結果だと思っている。

最初は気のせいかと思っていた。でも半年続けてみて、「気のせいではない」と確信に近いものを持っている。数値で測れるものではないが、体は確実に反応している。

ぬか漬けとジョギングの意外な関係

発酵食品を続けながら、走ることも続けた。

ある時気づいた。ぬか漬けをしっかり食べた翌日は、走ることが少し楽な気がする。腸の調子が良いと、全身のコンディションが整う。消化が良いと、走るためのエネルギーが体に届きやすくなるのかもしれない。

科学的な根拠を私が語れるわけではない。でも体感として、「発酵食品を食べた翌日は走りやすい」という傾向を感じている。

食べることと動くことは、切り離せない。どちらも体という同じ器官が受け取るものだ。ぬか漬けで整えた腸が、ジョギングのパフォーマンスを支えている。そんな連鎖があるような気がしている。


次回:発酵食品を続けて3ヶ月。体に変化はあったのか、正直に報告します。

※ この記事は個人の体験と公開情報に基づくものです。特定の疾患の診断・治療・予防を目的としたものではありません。健康上の不安がある方は、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。