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タバコをやめた日。チャンピックスと私の格闘記。


肺結核の診断を受け、禁煙しなければならなくなった。

頭ではわかっていた。でも、長年の習慣をやめるのは簡単ではない。食後の一本、仕事の合間の一本。タバコは日常のあらゆる場面に染み込んでいた。

チャンピックスという薬との出会い

お医者様から、禁煙補助薬を勧められた。チャンピックスという薬だ。

「やめる日を決めて、その前からこの薬を飲み始めてください。脳にある喫煙欲求を抑える効果があります。」

やめる日を決める、という部分が難しかった。決心がつかずに、その日をずるずると先延ばしにしていた。

「隔離入院になりますよ」という言葉

しかし、先延ばしにしている間に、肺結核が進行してしまった。

お医者様から告げられた。「このままタバコを続けるなら、隔離入院が必要になります。他の人に感染させるリスクがある。」

隔離入院。人と接触できない状態での入院だ。

その言葉を聞いて、ようやく覚悟が決まった。やめる日を決めて、チャンピックスを飲み始めた。

1〜3週間で、吸いたい気持ちが薄れた

最初の数日は、確かに吸いたかった。

食後が特につらかった。長年の習慣で、食事が終わると体が自動的にタバコを求めるのだ。でも薬の効果もあって、その衝動は以前ほど強くなかった。

1週間、2週間、3週間と経つうちに、吸いたいという気持ちが少しずつ薄れていった。

完全に消えたわけではないが、「なんとかなる」と思えるようになった。

タバコをやめて、最初に気づいた変化

禁煙から1ヶ月ほど経った頃、気づいたことがあった。

食事の味が変わった。正確には、以前より味を感じるようになった。長年タバコを吸い続けた結果、味覚が鈍くなっていたのだ。禁煙してから、ご飯の甘みや魚の旨みが、以前より鮮明に感じられるようになった。

朝の目覚めも変わった。タバコを吸っていた頃は、起き上がるときに咳が出た。禁煙してから、その咳がなくなった。「体ってこんなに回復するのか」と驚いた。

もうひとつ、走ることが楽になった。肺に余裕が生まれた感覚がある。以前は1キロ走ると息が上がっていたのに、禁煙後は同じ距離を楽に走れるようになっていた。タバコが肺にどれだけ負担をかけていたか、やめてみて初めてわかった。

禁煙の本当のきっかけは薬じゃなかった

チャンピックスは効果があった。でも振り返ると、一番大きかったのは薬じゃない。

「隔離入院」という言葉だ。

人と会えなくなる。家族とも会えなくなる。その恐怖が、行動を変えた。薬は補助だ。きっかけは、外からの強制的な現実だった。

やめようやめようと思い続けて10年以上。でも本当の意味で「やめる」と決めたのは、タバコを吸い続けることへの代償が、リアルに見えた瞬間だった。

人はなかなか変わらない。でも、どうしようもない状況に追い込まれたとき、変われる。私の場合は、肺結核がそのきっかけだった。

禁煙後に発酵食品と出会った

禁煙して体が少し回復してきた頃、発酵食品に興味を持ち始めた。

タバコをやめたことで食事の楽しさを取り戻した私は、「もっと体に良いものを食べてみよう」という気持ちになっていた。納豆から始まり、ぬか漬けへ、そして自家製味噌へと、発酵食品の世界に引き込まれていった。

禁煙と発酵食品は、直接は関係ない。でも、「体を大切にしよう」という気持ちが、両方を引き寄せた。

禁煙も、発酵食品も、ジョギングも、同じだと思う

禁煙に成功して気づいたことがある。

すぐには結果が出ない、ということだ。

1日でやめられるものではない。1週間で楽になるものでもない。でも、毎日少しずつ「吸わない」を積み重ねることで、いつの間にか「吸わない自分」が当たり前になっていた。

ジョギングも、発酵食品も、そして禁煙も、全部同じだと思う。

急かしても、良いものはできない。時間をかけるものは、長期的に見て良いことだ。

タバコをやめた日から、今日まで

あれから何年経つだろう。

今の私に、タバコを吸いたいという気持ちはない。食後もコーヒーを飲むだけだ。仕事の合間に一服するという習慣は、完全に消えた。

「吸わない自分」が普通になると、「吸っていた自分」が遠くなる。あの頃の自分とは、もう別の人間のような気がする。

禁煙してよかった。本当にそう思う。体のためだけでなく、「自分を変えられた」という自信のためにも。

禁煙補助薬の正しい使い方

チャンピックス(バレニクリン)を使った禁煙の経験から、薬の使い方について書いておく。

これはあくまで私の経験であって、医療的なアドバイスではない。禁煙に薬を使う場合は、必ず医師の指導のもとで行うべきだ。

チャンピックスは、飲み始めてから1〜2週間後にやめる日を設定するという使い方をした。薬が体に作用してから、吸いたい気持ちが弱まったタイミングでやめる。

飲み始めの数日は、眠くなることがあった。吐き気を感じる人もいるらしいが、私は大丈夫だった。食後に飲むと副作用が出にくいと聞いて、そうするようにした。

薬はあくまで補助だ。「薬を飲めばやめられる」ではなく、「薬の力を借りながら、意志を固める」という感覚が正しい。

タバコとの20年以上の付き合い

喫煙を始めたのは二十代の頃だ。

当時は周りでも吸っている人が多かった。「格好いい」という感覚もあった。仕事のストレスのはけ口として、タバコが機能していた時期もあった。

20年以上吸い続けた。吸いすぎる日もあった。一日に1箱以上吸っていた時期もある。「体に悪い」とわかっていながら、やめられなかった。

タバコをやめたいと思ったことは何度もあった。「来月からやめよう」「今日を最後にしよう」。そういう言葉を何度言ったかわからない。でも翌日になれば、また吸っていた。

習慣というのは、本当に根深い。意志の力だけではどうにもならないことがある。だから「薬の力を借りる」という選択が必要だった。

禁煙後の体の変化を正確に記録すると

禁煙してから起きた体の変化を、時系列で書いておく。

1週間後:食後の喫煙衝動がまだある。チャンピックスの効果で何とか我慢できた。眠れない夜が1〜2日あった。

2週間後:衝動が少し弱くなった。食欲が増えた。体重が1kg増えた。

1ヶ月後:吸いたいという気持ちが「ふっと思い出す」程度になった。朝の咳が減った。息が楽になってきた気がする。

3ヶ月後:タバコのことをほとんど考えなくなった。走るときの呼吸が明らかに楽になった。食事がおいしくなった。

6ヶ月後:「元喫煙者」という実感がなくなってきた。「吸わない人間」として日常が成立している。

1年後:タバコを吸っていた時代が、遠い過去のように感じる。体重は禁煙直後より少し増えたが、その後ジョギングと発酵食品で戻った。

禁煙と体重の関係

禁煙すると太る、という話をよく聞く。

確かに、私も禁煙直後の数ヶ月は少し体重が増えた。タバコを吸いたい気持ちが食欲に転換されたのだと思う。口が寂しくなると、食べ物を探してしまった。

でも走り続けていたので、増えた体重は半年ほどで元に戻った。「禁煙したら太る」という話は、「禁煙して何もしなければ太る」ということだと、体験してわかった。

禁煙とジョギングをセットで続けたことが、体重の安定につながった。片方だけでは難しかったかもしれない。

禁煙後の肺の変化

禁煙後、走るときの呼吸が変わった。

以前は3キロも走ると息が苦しくなっていた。喫煙者の肺は、酸素の吸収効率が落ちるらしい。禁煙後の数ヶ月で、少しずつ楽になっていった。

3ヶ月後、明らかに違った。同じ距離を走っても、息の上がりが違う。「あ、肺が少し戻ってきた」という感覚があった。

タバコをやめることで、ジョギングが楽になった。ジョギングが楽になったから、もっと走ろうという気持ちが生まれた。禁煙とジョギングは、良い相乗効果を生み出した。


次回:10キロを走れた日。そしてスピードを求め始めた。

※ この記事は個人の体験と公開情報に基づくものです。特定の疾患の診断・治療・予防を目的としたものではありません。健康上の不安がある方は、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。