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年をとったのかな。台風前日、菖蒲がきれいと思った日。


06月に入ってから、なんだかずっと頭が忙しかった。

特別なことがあったわけではない。でも、あれこれ考えすぎる日が続いていた。今日は休日だ。台風6号が九州から北上してきているらしい。今夜から雨になるという。

「散歩でもしてこよう」

それだけ思って、家を出た。

台風前の公園へ

風が強い。

歩き出してすぐにわかった。木々がざわざわと揺れている。空は曇っていて、どことなく重たい。気温は26度ほどだが、湿度がある。じめじめとした空気が肌にまとわりついてくる。

それでも、悪くない。

近所に水元公園がある。住んでいながら、普段はなかなか足を運ばない場所だ。今日はそこへ向かった。公園に入ると、すぐに鳥の声が聞こえてきた。カラスの大きな声。その向こうに、小さな鳥の声も混じっている。カワセミがいるらしく、カメラを構えたバードウォッチングの人たちが数人、静かに待ち構えていた。

台風が来る前日に、こんな時間があるとは思っていなかった。

水元公園の菖蒲畑。紫と青紫の菖蒲が一面に広がる。

第45回葛飾菖蒲まつり

公園の中心部に入ったとき、ふと気がついた。

いつもと違う。屋台がある。たこ焼き、いか焼き、じゃがバター、サツマスティック。昭和の縁日とはちょっと違う、今風の並びだ。ステージも設営されていて、花の展示台がその手前に並んでいる。のぼりには「第45回葛飾菖蒲まつり」と書いてあった。

今週の日曜日に開催されるらしい。

その準備として、公園一帯に菖蒲が植えられていた。

紫と白、いろいろな菖蒲

正直に言うと、菖蒲をちゃんと見たのは、今日が初めてかもしれない。

今まで「菖蒲まつり」という言葉は知っていた。でも、足を運んだことはなかった。なんとなく縁遠い、年配の人が行くものだという思い込みがあった。

でも、実際に目の前にすると、思っていたより何倍もきれいだった。

白地に淡い紫が入った菖蒲。花びらに細かな模様が走る。

紫。白。淡い薄紫。濃い紫。花びらの形もそれぞれ違う。すらりと背が高いものもあれば、ずんぐりとしたものもある。風が吹くたびに、一斉に揺れる。台風の前触れのような強い風の中、菖蒲だけが静かに揺れていた。

白に紫の縁取りが入った菖蒲。後ろにぼんやりと菖蒲畑が続く。

ゾーンが変わるたびに、また違う種類が並んでいる。一周するだけで、相当な種類を見た。

鮮やかな濃い紫のひと輪。存在感がある。

写真をたくさん撮った。

お茶小屋とお団子

池のほとりに、小さなお茶小屋があった。

お団子を売っている。縁台に腰掛けて、お客さんが何人かお茶を飲みながら菖蒲を眺めていた。

江戸時代みたいだな、と思った。本当にそのままだ。菖蒲を愛でながら、お団子を食べる。何百年も前から、日本人はこういうことをしてきたのだろう。そのことが、少し可笑しくて、少し嬉しかった。

年をとったのかな

一周して、公園の出口へ向かいながら、ぼんやりと思った。

紫陽花も咲いていた。梅雨の時期らしい、青紫の大きな花。菖蒲の紫と、また違う紫だ。どちらも、この季節にしか見られない色だ。

青い紫陽花。梅雨の緑の中で鮮やかに咲いている。

こういう場所に来て、花をきれいだと思うようになったのは、いつからだろう。若いころは、こういう場所に来ようとは思わなかった。花より、もっと刺激的なものを求めていた。

でも今日、菖蒲の前でしばらく立ち止まって、ただ眺めていた。それが、気持ちよかった。

年をとったのかな、と思う。でも、悪い意味ではない。こういうものをきれいと思えるようになったのは、むしろ良いことだと思っている。

台風が来る前日の、一時間ほどの散歩だった。

頭の中のごちゃごちゃが、少しだけ薄れた気がした。ストレスの解消法はいろいろあるけれど、結局、歩くのが一番自分には合っているのかもしれない。


花をきれいと思える自分でいられるうちは、まだ大丈夫だと思う。

※ この記事は個人の体験と公開情報に基づくものです。特定の疾患の診断・治療・予防を目的としたものではありません。健康上の不安がある方は、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。