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自家製味噌、初挑戦。木樽で仕込んで、10ヶ月後に開けた話。


ずっと気になっていた。

味噌を「買って食べる」だけでなく、「自分で作る」ということを。

発酵食品を日々食べるようになってから、材料が菌の力で変化していく過程に興味が出てきた。ぬか漬けや塩麹は自分で作るようになっていたが、味噌はなんとなくハードルが高い気がして、手をつけていなかった。

2025年2月、仕込み開始

「寒仕込み」という言葉を知った。

冬の寒い時期に仕込んだ味噌は、雑菌が繁殖しにくく、ゆっくりと発酵して美味しくなるらしい。それを聞いて、「今年の冬にやってみよう」と決めた。

材料は大豆、麹、塩の3つだけ。シンプルすぎるほどシンプルだ。

大豆を一晩水に浸けて、じっくり茹でる。柔らかくなった大豆を手で潰して、塩と麹を混ぜる。そして木樽に詰め、重石をして待つ。

作業自体は半日もかからなかった。あとは時間が仕事をしてくれる。それが発酵食品の最大の魅力だ、とあらためて思った。

木樽を選んだ理由

市販のプラスチック容器ではなく、あえて木樽を選んだ。

木には目に見えない微生物が宿っていて、より複雑な風味が生まれると聞いたからだ。見た目も美しいし、なんとなく「本物を作っている」という気持ちになれる。

初心者が木樽を使うのは少し冒険だったが、それも含めて楽しもうと思った。

酒粕で表面を守る

発酵中、表面が空気に触れてカビが生えるのを防ぐため、酒粕で表面を覆った。

黄色みがかった酒粕の層が、味噌をしっかり守ってくれていた。

酒粕で覆われた状態の味噌

仕込み中の10ヶ月間

仕込んで、木樽を棚の隅に置いた。

最初の頃は毎日気になった。「ちゃんと発酵しているか」「カビが生えていないか」。1週間に一度くらい、木樽を眺めた。表面の状態を確認して、何も変わっていなければそっと蓋を閉める。

3ヶ月が過ぎた頃から、だんだん意識しなくなってきた。「あとは菌に任せるだけ」という境地になってきた。

ジョギングでも同じことを感じたことがある。続けているとあるとき「気づいたら変わっていた」という瞬間が来る。味噌も、あとは時間がやってくれる。そう思えると、待つことが苦ではなくなった。

10ヶ月という時間は、思ったより短かった。

10ヶ月後、2025年12月。いよいよ開封

仕込んでから10ヶ月。

蓋を開けるとき、正直ドキドキした。失敗していたらどうしよう。カビが広がっていたらどうしよう。

でも、蓋を取った瞬間、味噌の香りがした。

スプーンで掘り起こすと、茶色い、しっとりした塊が出てきた。市販の味噌より少し色が濃い。香りは深く、少し甘い。

酒粕を取り除いた後の完成した味噌

恐る恐る舐めてみた。

しょっぱい。でも、旨い。

「これ、味噌だ」と思った瞬間、なんだか笑いが出た。大豆と麹と塩を混ぜて、10ヶ月待っただけのものが、ちゃんと味噌になっていた。

自分で作ることの意味

市販の味噌を買えば300円もあれば手に入る。

わざわざ大豆を煮て、潰して、仕込んで、10ヶ月待つ必要はない。効率だけ考えたら、馬鹿らしいかもしれない。

でも、この味噌汁は違う。飲みながら「自分が作った」という記憶がある。あの寒い冬の台所で、手を真っ赤にしながら大豆を潰したこと。木樽に詰めながら「うまくできるかな」と思ったこと。

その時間が、今この一杯に入っている気がする。

ジョギングも、発酵食品も、禁煙も。良いものができるまでには、時間がかかる。急いでも仕方がない。待つことも、立派な作業だ。

自家製味噌で一番変わったこと

自分で作った味噌を毎日食べるようになってから、一番変わったのは「味噌汁への向き合い方」だ。

以前はインスタント味噌汁を飲んでいた。今は、自家製味噌でだしを引いて作る。同じ「味噌汁」という名前の飲み物だが、まったく別のものだと思っている。

朝、味噌汁を一杯飲むことが、一日の始まりの儀式のようになった。自分で作った味噌を使うことで、その一杯への意識が変わった。

「発酵食品はライフスタイル」という言葉を見たことがある。最初はピンとこなかったが、自家製味噌を作ってからその意味がわかった気がした。食べることへの関わり方が変わると、生活が変わる。

そして2026年2月22日、また仕込んだ

一度やると、やめられない。

2026年2月22日、今年も木樽に味噌を仕込んだ。去年の経験を活かして、少しだけ配合を変えてみた。大豆の量を増やし、塩を少し減らした。甘みが出やすくなると聞いたからだ。

完成予定は2026年12月。

果たして今年はどんな味噌になるのか。去年より美味しくなっているのか、それとも。

開けるのが、今から楽しみだ。

自家製味噌を仕込む前に調べたこと

味噌を仕込む前に、いろいろと調べた。

「寒仕込み」は2月ごろが適している。気温が低い冬に仕込むことで、雑菌の繁殖を抑えながら、麹菌だけをゆっくり働かせることができる。逆に夏場に仕込むと、発酵が速く進みすぎて失敗しやすい。

大豆は国産のものを使うのが基本だ。できれば無農薬や特別栽培の大豆が望ましいとされているが、最初は普通の国産大豆でも十分だ。

塩は精製塩より、天然のミネラルを含む粗塩の方がよい。塩の種類が風味に影響するという人もいる。

麹は米麹が一般的だ。乾燥麹より生麹の方が発酵が活発だが、生麹は保存が難しい。最初は乾燥麹の方が扱いやすい。

こうした情報を調べながら、「これは奥が深い」と思った。単純な材料なのに、組み合わせと管理によって全然違うものができる。発酵の世界の入口が、ここにあった。

味噌を仕込む「準備」の話

2025年2月の仕込み当日、準備から始めた。

前の晩に大豆を水に浸けておいた。朝に水を替えて、鍋に入れて火にかける。大豆が十分に柔らかくなるまで、弱火でじっくり3時間以上煮る。途中でアクが出てくるので、丁寧に取り除く。

煮あがった大豆は、ふっくらと丸く、黄色く光っている。一粒つまんで指で潰すと、すっとつぶれる。これくらい柔らかくなったら、潰す工程に入る。

大豆を潰す方法はいくつかあるが、私は袋に入れてすりこぎで潰した。フードプロセッサーを使う方法もあるが、手でやることに意味があると思った。体温が入る。手の常在菌が入る。それが味を作ると聞いた。信じるかどうかは別として、やってみたかった。

30分ほどかけて全部潰した。腕が痛くなった。でも、その労力が次の楽しみになる。

味噌作りを通じて、発酵のしくみがわかってきた

味噌を自分で作ったことで、発酵のしくみが体でわかるようになった。

大豆と麹と塩を混ぜて、ただ待つだけなのに、味噌になる。なぜそうなるのかが、少しだけわかった。麹菌が大豆のタンパク質を分解して、アミノ酸(旨味)を作り出す。塩が雑菌の繁殖を防ぐ。温度と時間が、その反応を調整する。

このしくみを頭だけで知るのと、実際に自分の手で仕込んで、10ヶ月後に味噌を取り出す経験をするのとでは、まったく違う。体で知ったことは、忘れない。

スーパーで味噌を選ぶときの見方も変わった。「天然醸造」「無添加」「1年熟成」といった言葉が、以前より重く感じるようになった。時間と手間がかかっているものだとわかるから。

自家製味噌は、来年も作る

今年の2月に仕込んだ味噌は、今も木樽の中で発酵している。完成は12月の予定だ。

去年の経験を踏まえて、少し配合を変えた。大豆を多めにして、塩を少し減らした。去年より甘みが出てくれればと思っている。

自家製味噌を作るようになってから、「この味噌はどんな味になるのか」という楽しみが生まれた。市販の味噌は常に同じ味がする。でも自家製は、毎年少しずつ違う。気候、大豆の状態、麹の量、自分の手の菌。全部が影響するらしい。

同じ作業をしても、同じものはできない。それが発酵の面白さだと思う。


結果は12月にご報告します。お楽しみに。

このブログは、発酵食品の素人である私・Toshiが、50代からの食と健康を探っていく記録です。専門家ではありません。気楽にお付き合いください。

※ この記事は個人の体験と公開情報に基づくものです。特定の疾患の診断・治療・予防を目的としたものではありません。健康上の不安がある方は、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。